特許出願を安くする検討


 特許管理費用の多くの部分をしめるのが代理人費用です。
 この部分を削減しなければ、特許管理費のコストダウンはあり得ません。

 基本的には、出願件数が纏まると値引きの可能性があります。しかし、中小企業の場合、大量出願してコストを下げることは難しいでしょう。
 であれば、数が少なくても安くやってくれる特許事務所を探すことになります。

 しかし、出願明細書の質は判断が難しく、出願に付帯するアドバイスなどの有無もあり、簡単に判断できないところがあります。
 時々、無理にコストを下げると、明細書の質が落ちると言う特許事務所関係者がいますが、そうですかと引き下がれない面があります。しかし、長期的に見れば、無理をしている分、徐々に質が・・・ということもあり得ます。

 <補足>ソフトやビジネスメソッドの出願・調査は費用が高めになります。
      クレームや明細書ページ数が多く、検討する時間自体も一般の出願に比べ多めです。


日本出願

 はじめは明細書作成以外のところから手をつけるのがよいでしょう。
 年金の納付は意外に手数料を多く払っています。期限管理ができれば、自分でもすぐにできます。
 年金の納付を安く代行してくれる会社もあります。

いくら必要か 請求項5つ、明細書頁数13で試算してみました。

(1)1件あたり予算 2万1千円以下
 特許庁に納める出願料2万1千円を捻出できない場合は、特許出願をあきらめるしかありません。
 但し、先使用権、公知化を考慮して、対策を打っておくべきです。→守る方法参照

(2)1件あたり予算 2万1千円〜10万円台
 この価格帯では、弁理士さんに出願代理してもらうのは難しいので、できる限り自分で手続きすることになります。
 明細書の作成、明細書のチェック、意見書の作成など、パーツで引き受けてくれる事務所があれば、有り難いですね。

(3)1件あたり予算 10万円台〜定価(30万円台)
 この価格帯では、出願代理を前提に値引きしてもらうことになりますが、年間所定以上の件数保証をしなければ10万円台は難しいでしょう。
 (件数保証を考えても無理がある価格に思えますが、噂では聞いたことがあります)
 数多く事務所をあたれば、20万円台は可能だと思います。
 重要出願の場合には、平均的な出願の場合より高めにしてもらい、じっくり検討してもらう方が良いでしょう。
 (4)その他
 今、一般的に取られているコスト削減策は、出願の厳選でしょう。全出願人が厳選し、くだらない出願をださないのならば、これで良いでしょう。審査が甘くなっている現状と合わせて考えると心配な面もあります。

 費用の増減
 代理人に依頼するときに、細かな点まで記載した資料を添付すると、法的責任問題の点から明細書作成者は依頼人の資料を漏れなくすべてを記載しようとしますので、明細書頁数が増え、費用が上がります。 逆に、説明が不足すると安い費用で済みますが、後から補正できないために泣きをみる可能性があります。考えどころです。(頁数により費用が変化する場合)

 請求項についても、できれば増やし、多面的なクレーム構成としたい希望はありますが、1請求項増やす毎に1万円づつアップしますので、押さえ気味になります。(標準価格表の場合)

 弁理士さんによっては、標準価格表にとらわれずに独自の価格体系を採用している方もいます。

 併合 
 全部任せて、安く上げる方法として、できれば数件に分けて出願するのが望ましいものを、1件にしてもらう方法があります。 必要があれば、審査請求時に分割します。明細書依頼時に、分割の可能性がある旨を伝えておいた方が良いでしょう。

 例えば、構造と回路に特徴がある機器で構造を中心にクレーム(請求項)を構成してもらうが、回路についてもある程度詳細に説明して置いてもらいます。

 自社の出願包袋ファイルには、担当者が変わっても業務が引き継がれるように、「審査請求時に分割検討のこと」と書いておきましょう。(各出願は1件ごとにファイルし、ファイルキャビネットに入れて管理すると便利です)

 基本出願は特許事務所に依頼し、関連出願は自分でやる
 基本出願した後、もう少し関連出願を補強しておいた方が良いと思うことがあります。
 将来の製品の売れ具合がわからない状況ではあきらめることもあります。

 98年からパソコン出願制度も始まり、代理人を使わなくとも簡単に出願手続きはできるようになりました。(発明協会の各支部でも出願の手続きのみはやってくれます)

 内容については、基本出願原稿をOCR処理でテキスト化し、文章を加筆・変形します。図面も基本出願のものをできる限り流用し、工数の削減を図ります。かなり近い技術の明細書がある場合には、明細書の作成も比較的楽です。

 自分でやるとき
 自分でやると、一番安くできますが、指導してくれる人をできる限り探すべきです。
 独学でやる場合には、はじめの10件ぐらいは全く無駄にするぐらいの覚悟は必要でしょう。
 そして、この場合、出願と同時に審査請求すべきでしょう。出願原稿を作成して9年後に明細書の欠点に気がついても遅すぎます。


   結局は、出願する技術、製品が権利化された場合、どのくらいの利益を上げられるかで決めるべきでしょうが、出願時にはこの判断ができないものが多いのも事実です。

 ご意見、ご質問はメールで→info2@pat-man.com (迷惑メール対策のため、時々メールアドレスを変更しています。)


外国出願


 いくら必要か 米国出願での概算です。

 安く上げるのは、日本出願より難しいでしょう。(翻訳料が高く、35万円程度でしょうか)

 日本出願をお願いした事務所に外国出願もお願いすれば、楽です。但し、外国出願の場合、必ずしも日本の事務所を通す必要はありません。

 外国の特許事務所に直接依頼することもできます。当然、外国人相手ではすべて翻訳して送付する必要がありますので、日本人担当者や、日本人有資格者がいる外国事務所を探すことになります。これで、15万円以上安くなるでしょうか。

 さらに安くするには、安い翻訳者を探して翻訳していただき、手続きは自分でやる方法もありますが、私は試したことがありません。

 翻訳料は高い方で1ワード\55です。安いところでホームページで1ワード\25と言うのを見たことがあります。

 米国の場合、中小企業はSMALL ENTITY制度を利用でき、米国特許庁への費用が半額程度になります。 是非利用してください。
 日本の特許庁も、この制度があれば良いと思います。みんなで最近すっかり親切になった特許庁に要望メールを打ちましょう。

 ノウハウをお持ちの方、メールください。
 より具体的な方法の質問についてもメールでお願いします。→info2@pat-man.com (迷惑メール対策のため、時々メールアドレスを変更しています。)

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